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著者:真山仁
出版社:講談社
2011年6月15日発行

真山仁氏のハゲタカシリーズ3作目。1作目、2作目がかなり面白かったので、当然の如く読んでみたら、今までとは比較にならないスケールの大きさに圧倒!
映画「ハゲタカ」の原作でもある。

中国の買収王ホー・イーファが、日本が誇る世界的自動車メーカー・アカマ自動車の株を買い漁る。
その頃、親友アランを亡くした傷がまだ癒えない主人公・鷲津に中国の国家ファンド幹部・ワン・リエが接触する。
ワン・リエは鷲津に中国国家ファンド(CIC)の最高責任者への就任を持ちかけるが、鷲津は興味を示さない。

やがてホー・イーファがアカマ自動車への敵対的買収に乗り出し世間を騒がせるのと同時に、CICもメディアを通じて鷲津に揺さぶりを掛ける!
ホー・イーファとCICの繋がりも見え始め、日本の自動車産業を中国に渡すまいとアカマ自動車にホワイトナイトを名乗り出た鷲津の前に、なんとかつての恩師とも言える人物が立ち塞がる。

鷲津が日本、中国、ニューヨークを股にかけ奮闘する先には、ホー・イーファの生い立ちの秘密とアランの死の真相が待ち受けているが、そのスピード感たるやスリリングで圧巻である!


映画「ハゲタカ」に比べると、登場人物の思惑がかなり複雑に入り乱れるがそこが面白い!
映画では鷲津とホー・イーファ(映画ではリュウ・イーファという名前になっている)の対決という構図で描かれていたが、本書でのホー・イーファは利用された揚句、自暴自棄気味になってしまい後半では殆ど存在感が無くなってしまう…。
本書では登場人物それぞれが時に主役級のの存在感を放つ時があり、そこに引き込まれる。

自分は小さな化粧品メーカーに勤めているのだが、株式非公開の為このような企業買収に巻き込まれる心配はないのだろうが、会社を守るためにここまで熱くなれるのかと正直羨ましくなってしまう。
真山仁氏の小説は、仕事に対する姿勢や価値観さえも考えなおさせてくれる作品ばかりである。

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