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著者:渡邉正裕
出版社:ちくま新書
発行:2010年10月

これも恥ずかしながら上司に勧められてから読んだ本・・・。“よっしゃ!俺も頑張るぞ!”と鼓舞してくれるの同時に、“今の取り組み方のままではやばいよな(汗)”と危機感を与えてくれた。


“このまま漠然とがむしゃらに会社で勤めているだけで良いのだろうか?”と不安に思っていた自分に、目を背けたい現実を突きつけられたような気がした。 この私の不安に対する著者渡邉氏の回答は無論“否”である!無策にサラリーマンをやっているだけでは、一昔前のサラリーマンのように年功序列に従って年収も段々と上がって、年齢に見合ったポストが自動的に与えられるというような時代は既に終わっている!この程度のことなら愚鈍な私も薄々気づいている・・・。

ではどうすればこれからの時代、仕事人生を送れるのか?
今ある仕事や境遇を通じて自分の「能力」を押し広げながら、何をやりたいかといった「動機」を意識出来るところまで顕在化させる。この二つの領域が重なる部分を十分にカバー出来る仕事内容を生業とすることが最良なのだそうだ。

DSC_0130 ざっくりとした抽象的な要約だけでは、とても単純なことのように聞こえるがそんな簡単に二つの領域が重なる部分が見つかるものではない。
 社会に出たばかりの若者に仕事上の能力などは当然望むべくもないし、「自己分析」と称した自分探しをちょっとやった程度では潜在的に持つ動機なんかはわかるものではない。
 学生時代の就職活動時には、“やってみたい!”といった憧れ程度の意思を、「動機」と思い込みがちだが、社会に出てから色々と経験しながら強く惹かれる物に出会い、それが本書で言う「動機」となるのだそうだ。

 「能力」を拡げながら、「動機」も顕在化させるようにキャリアを積んでいくように本書は提唱している。30歳前後までにその方向性は決めて、35歳くらいまでには、これだ!と思える仕事に就いていないと、人的ポテンシャルは下がる一方なのだから、あとは手遅れになってしまう・・・。

 本書は、なにも転職ばかりを勧める物でもない。業界と職種を同時に変えるのはかなり大変(いくら若いとはいえあまりに経験不足だと雇う側にも抵抗がある)なので、ターゲットとなる業界/職種が見えてきたら、そこを目指してまずは社内で異動を申し出て職種を変える、その後に同業他社の同職種に、異業界他社の同職種へとステップを踏みながらキャリアチェンジといった道も模索してみるべきである。

 本書では何人ものビジネスパーソンの事例を紹介して、この様な一見関連のなさそうな仕事へのキャリアチェンジも可能なのと思わせてくれる。だがいずれの事例でも、実現したい物がぶれずに何処か根底で繋がっていたりするのである。

 この本が今の自分の仕事に対する姿勢と、将来を見据えたこれからの自分への投資を意識させてくれたのは間違いない。




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